そのままにしておくと危険な無症候性高尿酸血症
自覚症状は少ないので病気の発見が遅くなることも
尿酸は血液に溶けにくい物質なので、血液中に増えすぎると、飽和状態になり血管よりはみ出し、関節や腎臓などにたまって尿酸の結晶を作り出します。
痛風発作が出はじめる目安としては、血清尿酸値が7.0mg/dlを超えてきた辺りとされています。そしてこの時点では、生活習慣を見直すことで、薬を使用しなくても尿酸値を下げることが可能となります。
しかし、治療をせずにそのままにしておくと、関節や腎臓に溜まってしまった尿酸が結晶化し、それがはがれ落ちることで炎症による激痛発作を引き起こしたり、腎臓機能を低下させてしまいます。そして尿酸値が9.0mg/dlになってもそのままにしておくと、将来的な痛風のリスクはとても高くなります。
血液中に尿酸が増えたとしても、すぐには自覚症状として現れてきません。痛風発作や痛風結節、腎障害を「無症候性高尿酸血症」といいます。
無症候性高尿酸血症
無症候性高尿酸血症は、痛み等の自覚症状がほとんど感じないため、病気の発見が遅くなりがちです。そのため、治療開始が遅くなってしまい、痛風性関節炎や尿路結石を発症してしまったり、その他の臓器に合併症を引き起こしてしまう恐れがあります。
推測では、無症候性高尿酸血症の患者さんは痛風患者の6~10倍近くはいるのではないかとされています。
高尿酸血症であっても、実際に痛風発作を引き起こすのは、全体の1割程度です。残りの9割の人は痛風発作を引き起こさないまま症状が進んでいきます。
無症候性高尿酸血症の治療
無症候性高尿酸血症と診断された場合は、自覚症状が全くないからといって、何も治療を行わずにそのままにしておいてはダメです。
尿酸値が基準の7.0mg/dlを超えている場合は、運動や食生活などの生活習慣の見直しを心がけて行うようにします。その中でも、内臓脂肪型の肥満には注意が必要です。
無症候性高尿酸血症に対する薬物療法開始の目安は、尿酸値が9.0mg/dl以上とされています。薬には副作用があるので、その点も考慮して行います。
医師によっては、無症候性高尿酸血症への薬物療法に対して否定的な意見もありますが、将来的な痛風の発症や、腎臓などへの障害を予防するためにも、早めの薬物治療がすすめられます。