痛風と生活習慣の深い関係
痛風の原因は、高尿酸血症です。あるいは、高尿酸血症のうちの一部の方が、痛風を発症すると言ってもいいかもしれません。
昔、痛風は「帝王病」や「ぜいたく病」と言われ、美食や高カロリー食が原因と言われてきましたが、あながちそうとも言い切れません。
ただし痛風は、美食を含めた生活習慣全般に関係があると言えます。その原因としてどんなものが考えられるか、考えてみましょう。
一番最初に挙げなくてはならないのは、やはり食生活です。
古来より日本人は、米、野菜、、魚を中心とした食生活を送ってきました。しかし明治時代に洋食が知られ、戦後の高度経済成長時代を迎えて、生活が豊かになると食生活も急激に欧米化しました。
それはすなわち、魚に替わって肉食が中心となったことで、他にはアイスクリームやファストフードなど、おやつや副食の分野まで高カロリー食が増えてきたことです。
結果として、肥満や生活習慣病の患者数が増え、同時に高尿酸血症の患者も増加しました。ある統計では、高尿酸血症にかかる人は肥満指数(BMI)の上昇と共に増加し、BMIが25以上の方のうち、約70%が高尿酸血症になっているというデータもあります。
二つ目は、飲酒です。
ビールでなければ飲酒に悪影響はなさそうに思えますが、飲酒は結果的に尿酸を増やし、さらに尿酸の排泄を低下させてしまいます。多くの痛風患者は多量のアルコールを長期間飲み続けてきたのも事実です。
ただしお酒は、血行を良くする働きもあります。よく言われる適量(ビール:大瓶1本、日本酒:1合、ウイスキー:ダブル1杯)以上は飲まないようにしたいものです。
三つめは、運動です。
激しい運動や筋力トレーニングは、尿酸値を上げたり細胞が壊れたりすることによって尿酸の生成を促してしまいます。したがって痛風になったら、これらの運動は控えるべきであり、するなら、ウォーキングなどの有酸素運動が望ましいと言えます。
そして最後の四つめは、生活習慣には直接関係ありませんが、遺伝です。
痛風患者の20%は、遺伝が関係していると言われていますので、親や兄弟に痛風患者がいる方は、上に挙げた3つの事項に十分留意して生活したいものです。
私自身、悲しいことに、これら4つとも当てはまっています。対策としては、薬を必ず飲むことをベースとして、過度の飲食を控え、休日にはウォーキングすることを心がけています。今のところ、痛風発症直後の半年で5回ほど発作が起きたのみで、その後は一切ありません。
遺伝というのは一種うらめしいようでもありますが、多くの痛風患者の方は、立派な体格をしているはずです。それも含め、遺伝は一個の生命体としての宿命ですから、体質とは上手につきあっていきたいものです。